「いつかはマーティンのギターを…」「フェンダーのテレキャスを手にしたい」──そんな夢を持っている方、ちょっとお待ちを。
実はいま、アメリカの関税政策が、世界中の楽器市場にじわじわとダメージを与えているという事実をご存知でしょうか?この記事では、アメリカの貿易政策がなぜ楽器業界を揺るがしているのか、そして私たち消費者にもどう影響が及ぶのかをわかりやすく解説します。
参照記事
トランプ米大統領の関税が楽器メーカーに「壊滅的」打撃を与える可能性について全米楽器商協会の会長語る
楽器業界を直撃する「関税」の波
アメリカでは近年、輸入製品への関税が強化され、カナダ、メキシコ、中国からの楽器や部品に最大25%の関税が課される可能性が出てきました。これが何を意味するかというと……
「フェンダーのメキシコ製ストラトキャスターが突然5万円アップするかもしれない」
という、ミュージシャンにとっては恐怖のシナリオです。
NAMM(全米楽器商協会)のCEOであるジョン・ムリンザック氏も、「この関税は、楽器業界にとって壊滅的な打撃になる可能性がある」と警鐘を鳴らしています。
グローバルな楽器の裏側
たとえば、世界中のアコースティックギターの多くは中国とメキシコで作られています。2024年には約100万本近いアコギが中国からアメリカへ輸入されました。
フェンダーやマーティン、テイラーといった有名ブランドも、エントリーモデルや中価格帯の多くを海外生産しています。これは、品質を落とさずに価格を抑えるための企業努力の結晶なんです。
技術は一日にして成らず
「じゃあ、製造拠点をアメリカ国内に戻せばいいじゃん」と思ったそこのあなた。実はそれ、めちゃくちゃ難しいんです。
なぜなら、ギターやバイオリンなどの楽器は、**職人の手仕事に支えられた“技術の集大成”**だから。トランペットのベルを磨く技術、バイオリンの調弦方法、ギターのネックの調整など、すべてが高度な熟練技術。一朝一夕で他国に移せるようなものではありません。
音楽教育にも波及する影響
さらに問題なのは、「子どもたちが手に取る最初の楽器」もまた、海外生産の手頃なモデルであること。
仮にそれらの価格が跳ね上がれば、楽器を始めるハードルが一気に高くなるというわけです。音楽の入り口を塞いでしまえば、未来のアーティストを生み出す土壌そのものが危うくなります。
楽器を買うなら今がチャンス?
最近では、中古市場も活況を呈しています。パンデミックをきっかけに楽器を始めた人が増え、その後のリセールも活発に。関税の影響で新品が高騰すれば、中古の人気もさらに加速する可能性が高いです。
ということは……
今のうちに“いい楽器”を買っておいたほうが得かもしれません。
まとめ:音楽は国境を越えるけれど、関税はそれを遮るかもしれない
楽器を手にすること。それは人生を変える体験かもしれません。
だからこそ、音楽の未来に関わる「関税」の話は、決して他人事ではありません。ミュージシャンも、親も、音楽ファンも、今こそ「何が起きているのか」を知っておくべきときです。
楽器は、単なる物じゃない。 それは、「音楽を生み出すパスポート」です。