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激動のギターブランド興亡記~フェルナンデスの足跡と復活への願い~

今回は、かつて一世を風靡し、近年復活の噂も囁かれるギターメーカーについて、当時を生きた私の視点からその隆盛と衰退の歴史を振り返りたいと思います。

1970~80年代:コピーモデルと海外アーティストモデルで一時代を築く

1970年代後半から80年代にかけて、フェルナンデスはテレキャスターをはじめとする海外有名ギターのコピーモデルを多数リリースしました。

本家と比較して格段に安価でありながら、一定の品質を備えていたため、日本国内で爆発的な人気を博しました。当時のギターは、現在では「ジャパンヴィンテージ」として評価され、中古市場でも一定の価値を持っています。

80年代前半には、海外のギターヒーローたちのコピーモデル、いわゆるアーティストモデルに近い製品をリリースし始めます。

権利関係が心配になるようなモデルもありましたが、本物よりも手頃な価格で購入できるため、これもまた大きな支持を得ました。

1980年代後半~90年代:国内アーティストモデルの隆盛とブランドの絶頂

80年代後半に入ると、BOOWY布袋寅泰さんやX JAPANのHIDEさんといった、国内の人気アーティストモデルを正式な契約のもとでリリースし、爆発的なセールスを記録しました。

その後、90年代にかけてフェルナンデスは驚異的な数のギターをリリースし、当時学生だった私たちは、憧れのギターを手に入れることができるという、まさに夢のような時代でした。

10万円前後で多くのモデルが手に入ったと記憶しており、90年代はまさに国内ギターブランドの全盛期だったと言えるでしょう。フェルナンデスは、まさにアーティストモデルに特化したメーカーという印象でした。

2000年代以降:時代の変化と競争激化、そして苦境へ

2000年代に入ると、音楽の流行の変化とともに、アーティストモデルの人気は徐々に陰りを見せ始めます。

ギブソンやフェンダーといった老舗ブランドは、レスポールやストラトキャスターといった定番モデルを確立しており、アイバニーズも海外アーティストモデルをリリースしつつも、スタンダードラインのギターが主力となっていました。

ESPも国内外のアーティストモデルを展開する一方で、「ホライゾン」のような人気スタンダードモデルを持っていました。

しかし、フェルナンデスは、代表的な「FR」シリーズやミニギターアンプ内蔵の「ZO-3」といったスタンダードラインのモデルはありましたが、正直なところ、その分野では他のメーカーに押されるようになっていました。

さらに、2000年代に入ると、海外のギターメーカーが続々と日本市場に参入し、ポール・リード・スミス、Suhr、サドウスキー、ミュージックマンなどの選択肢が大幅に増えました。

これにより、アーティストモデルへの依存度が高かったフェルナンデスは、競争激化の中で不利な状況に立たされます。

楽器の世界では、常に若い世代のアーティストに選ばれることが重要ですが、いつしかフェルナンデスのギターはそうした世代から支持を得られなくなっていました。

私が若い頃に憧れたミュージックマン、トム・アンダーソン、ポール・リード・スミスなどが台頭し、最近ではSuhrやサドウスキー、そしてフェンダーが再び大きな人気を集めています。

人間工学に基づいたストランドバーグのような新しい潮流も生まれ、各社がヘッドレスギターなどを開発する中、フェルナンデスの名前は若い世代にはほとんど知られていない可能性すらあります。

2010年頃には、楽器店でフェルナンデスの新品を見かけることすら稀になり、若い世代の有名アーティストでフェルナンデスを使用する人は皆無と言って良い状況でした。

長年契約しているベテランギタリストが使用する程度で、その世代のファン以外にはアピールできず、フェルナンデスの知名度は低下の一途を辿りました。

まるで1990年代に取り残されたかのように、ZO-3ギターとHIDEモデルの受注生産を行うメーカーというイメージだけが残ってしまったのです。

2024年5月のポストにて、「ガールズバンドクライ」とのコラボがあったようで、これが最後の大きなニュースとなっています。

「NTG-LTD」というFRの次世代モデル的な感じですが、これはなかなか格好良いんですよね。

サスティナーとZO-3:独自の強みも時代の波には抗えず

フェルナンデスには、音が永遠に伸びる「サスティナー」という独自のピックアップ技術があり、私も使用したことがありますが、多くの人にとっては必須の機能ではありませんでした。

著名なギタリストも使用していますが、「サスティナーがあるからフェルナンデスを選ぶ」という選択には繋がりにくいのが現状です。

現在、このサスティナーで最も有名な使用者は、ギタリストのMIYAVIさんでしょうか。

ZO-3ギターは世界的にヒットした製品ですが、デザインの好き嫌いが分かれるところです。他社のミニギター、ピグノーズも根強い人気があり、ZO-3だけが特別に優位というわけではありません。

一方、バッカスというブランドは、高価格帯モデルだけでなく、3万円程度で手に入る低価格帯モデルの品質が高く、特に見た目の良さが際立っています。

これからギターを始める人が最初に手にするギターとして、バッカスは確固たる地位を築いており、もしフェルナンデスがこの価格帯で魅力的な製品を提供できていれば、状況は変わっていたかもしれません。

しかし、当時のフェルナンデスには、それだけの体力が残っていなかったのかもしれません。

フェルナンデスが凋落した理由をまとめると、以下の点が挙げられるでしょう。

  • アーティストモデルに特化しすぎたため、時代の変化に対応できなかった。
  • スタンダードラインでヒット作を生み出せなかった。
  • 若い世代のアーティストに支持されなかった。
  • 海外メーカーの台頭により競争が激化し、埋没してしまった。

現在、ギター業界は新たなブランドが次々と登場し、競争はますます激化しています。インターネットを通じて世界中の楽器が手に入るようになった今、生き残るためには、オリジナリティや独自の強みを持つことが不可欠です。

復活への期待と個人的な願い

そんなフェルナンデスですが、近年、復活の噂があります。

どのような形で復活するのかは不明ですが、もし復活するのであれば、若い世代にも選ばれるような戦略、そして現代のニーズに合った低価格帯で高品質な製品を期待したいところです。

もし、手頃な価格のモデルが発売されるのであれば、個人的にもぜひ手に入れたいと思っています。

ただ、いつの間にか公式サイトは消滅してしまっているのは心配です。

【もし復活するなら】個人的に欲しいもの

画像は大昔に持っていたFRなのですが、もしフェルナンデスが復活するなら、ぜひスタンダードラインである「FRシリーズ」の廉価版を量産してほしいと思います。

木材は高価なものでなくても構いません。世界的に楽器用木材が枯渇傾向にある今、代替材で安価に製造できるのであればそれで十分です。

ボディは塗りつぶしで、24フレット、シンクロトレモロ搭載、ピックアップは2ハムでもHSHでもSSHでも構いません。

80年代風のオレンジやイエローといったカラフルな塗りつぶしの安価なFRが発売されれば、私は間違いなく購入するでしょう。

今回の記事はここまでとさせていただきます。フェルナンデスの復活に期待しつつ、今後の動向を見守りたいと思います。

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AZU

ブロガー・DTMer。シンプルなモノ・コトが好き。ここでは無料のDTMソフトウェアをメインとした情報、自身で制作した音楽素材の提供などを行っています。

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