【無料】BaconPaul「Two Filters」｜Surge開発者による自由度の高いデュアルフィルターエフェクト

音楽制作に情熱を注ぐ皆さんに、今回は非常に興味深い無料プラグインをご紹介します。その名も、BaconPaulが手がける「Two Filters」です。このプラグインは、ただのフィルターエフェクトではありません。2つの独立したフィルターと、それぞれに備えられたステップシーケンサーが、あなたのサウンドに予測不能な動きと生命感を吹き込みます。

このプラグインは、人気のあるオープンソースシンセサイザー「Surge XT」の開発チームの一員でもあるBaconPaul氏が、新しいフィルターAPIのテストベッドとして開発したものだと聞いています。しかし、その完成度は非常に高く、単なる実験的なツールを超えて、音楽制作の現場で即戦力となる可能性を秘めています。

: 【特集】全部タダでOK！！無料で使えるおすすめDTM作曲ソフトで音楽制作システムを構築してみよう

続きを見る

Two Filtersとは？その驚くべき機能に迫る

「Two Filters」は、その名の通り2つの強力なフィルターを搭載したプラグインです。それぞれのフィルターは独立して動作し、音の特性を多角的に変化させることができます。このプラグインの最大の特徴は、一般的なフィルタープラグインとは一線を画す、その高度な機能性にあります。

まず、特筆すべきは豊富なフィルターモデルの選択肢です。Surge Teamの最新フィルターAPIを搭載しており、さまざまなラダーフィルターのバージョン、Oberheim Xpanderの全15種類のフィルター、Korg K35フィルターなど、伝説的なハードウェアにインスパイアされたモデルが多数含まれています。これにより、音源にビンテージ感を加えたり、あるいはモダンで鋭いサウンドに変化させたりと、多彩な表現が可能になります。コムフィルターのような珍しいタイプも用意されているため、特殊な効果を生み出すこともできます。

次に、このプラグインの心臓部ともいえるのが、各フィルターに搭載された16ステップのステップシーケンサーです。このシーケンサーは、カットオフ周波数、レゾナンス、そしてモーフィングパラメーターにそれぞれ独立してモジュレーションをかけることができます。単調になりがちなフィルター操作に、リズミカルで複雑な動きを与えることができ、シーケンスのカーブを描くことで、より繊細なコントロールも可能です。

さらに面白いことに、一方のシーケンサーがもう一方のフィルターをモジュレーションできるという、クロスモジュレーション機能も備わっています。これにより、非常に複雑で予測不能なフィルターパターンを作り出すことができ、サウンドに深いレイヤーと進化するテクスチャーを加えることができます。シンセサイザーのパッドやドローンサウンドに適用すれば、まるで生きているかのような豊かなサウンドスケープを生み出すことができるでしょう。

フィルターのルーティングも柔軟です。シリアル接続やパラレル接続など、いくつかの異なる構成を選択でき、サウンドのキャラクターを根本から変えることが可能です。さらに、フィードバック、ドライ/ウェットミックス、プリゲイン、ポストゲインといったパラメーターも細かく調整でき、ノイズを加えることで、より粗く、ダーティな質感を作り出すこともできます。

このプラグインはどう使えばいいの？

「Two Filters」は多機能すぎて、どう使えばいいか分からないと感じるかもしれません。しかし、そのシンプルさもまた魅力です。

まず最も簡単な使い方は、既存のサウンドに適用して「彩り」を加えることです。例えば、ドラムループに適用し、ステップシーケンサーを使ってカットオフをリズミカルに動かせば、ループ全体にグルーヴ感が生まれます。また、ボーカルやギターのトラックに適用し、特定の周波数帯を動的に強調・カットすることで、サウンドに動きと奥行きを与えることができます。

より高度な使い方としては、サウンドデザインのツールとして活用する方法があります。シンセサイザーの音源に適用し、自己発振を利用してメロディックな要素を作り出したり、シーケンサーを巧みに使ってグリッチやノイズのような効果を付加したりすることができます。特に、パッドやアンビエントサウンドの制作においては、このプラグインはかけがえのないツールとなるでしょう。