Resonariumは、Soule DSPによって開発された、実験的かつ革新的な物理モデリング・シンセサイザーです。導波管(Waveguide)ベースのアルゴリズムにより、複雑で予測不可能な音響表現を可能にし、MPE(MIDI Polyphonic Expression)にも対応しています。
本ソフトウェアは現在ベータ段階(バージョン0.0.10)にあり、完全無料かつオープンソースとして提供されています。現段階では開発途中であり、安定性やパフォーマンスに関しては自己責任での使用が推奨されていますが、その革新性と音色の豊かさは、既に多くの音楽制作者の関心を集めています。
特徴
- 導波管×4、各共振器×8、結合モード搭載
- MPE対応(Ableton Push 3、Roli Seaboard推奨)
- 4つのADSR、MSEG、LFO搭載
- サンプラー、エキサイター、内蔵エフェクトを内包
- モジュレーション接続はドラッグ&ドロップ操作に対応
- Karplus-Strong、モーダル合成など複数の物理モデリング方式を統合
- オープンソースでGitHubから改変・貢献が可能
推奨環境と注意点
開発はApple Silicon搭載のmacOS環境で行われています。Windowsでもビルドと実行は可能ですが、開発環境の構築や不具合の発生には十分注意してください。
また、導波管合成によるサウンドは予測不可能であり、意図せず大音量になる可能性もあります。システム音量は使用前に低く設定し、ヘッドフォンを使う場合は特に慎重に調整してください。オーバーフロー保護機能が作動すると一時的に音が途切れることがあります。
音色の魅力
Resonariumには、多彩なプリセットが含まれており、次のような音色を扱うことができます:
- シンプルな弦楽器のような柔らかい音
- テクスチャーのある幻想的な響き
- 金属的なアタックと高音域のきらめき
- 木管楽器のようなエアリーな音色
- プレッシャーや音色変化を活かしたMPE特有の繊細な表現
これらの音色は、MPE対応コントローラーを使用することでさらに生き生きとした演奏が可能になります。
現時点での制限事項
- Logic ProやFL Studioでは動作に問題が報告されています。
- 複雑なプリセットを多用すると高性能なPCを必要とします。
- ユーザーマニュアルは未整備ですが、GUI上のマウスオーバーでヒントが表示されます。
対応OSとプラグイン形式
対応OS | プラグイン形式 |
---|---|
macOS | VST3 / スタンドアロン |
Windows | VST3 / スタンドアロン(要CMake環境) |
総評
Resonariumは、物理モデリングシンセというニッチな分野で新たな可能性を探る野心的なプロジェクトです。MPE対応や柔軟なモジュレーション構造など、これまでにない表現力と実験性を備えており、クリエイティブな音楽制作に真剣に取り組む方には非常に興味深いツールです。
開発段階ではありますが、積極的な貢献やフィードバックも歓迎されており、オープンソースの利点を活かして育っていくシンセサイザーと言えるでしょう。
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