【この記事は「Symphonical Rain」にて2015年7月18日に書かれた内容を転載したものです。】
皆様お疲れ様です。AZU(@AZU0000)です。
マスタリングと言うのは音源の最終的な調整をする作業です。
曲単体の最後の仕上げ、もしくはアルバム等の複数の曲において音質や音量に統一感を持たせることにより最適な状態に仕上げます。
最終的な作業となるので、ここでの出来具合が楽曲の全てを左右すると言っても過言ではありません。なのでミックスはもちろんマスタリングには出来る限りの技術を用い、じっくりと取り組んでクオリティの向上を目指していきたいものです。
今回は曲単体におけるマスタリング、その中でも「音量、音圧を上げること」をメインに我流ではありますが書かせて頂きます。
ミックスしただけの音源というのは何とも聴き応えのないものですよね。
曲により細かい点においてやり方や数値上の違いはありますが、この記事で少しでもヒントを掴んで頂ければ幸いです。
必要なプラグイン
まず始めにマスタリングに必要な各種プラグインを紹介していきます。
私はWAVESの各種プラグインをメインとしているのですが、同じ役割を持っているのであればDAWに付属しているものやフリーのものでも全く問題はありませんので、必要に応じて用意をしてください。
イコライザー
グラフィックイコライザーとパラメトリックイコライザーの2種類があり、使いやすい方で問題はありませんが、個人的にはパラメトリックイコライザーの方が便利だと思います。
「Blue Cat's Triple EQ」や「TDR Nova」がフリーの中では優れているのでオススメです。
スペクトラムアナライザー
EQを使う際には必須のアナライザーですね。各帯域の状況が分かるのでカットするなりブーストするなりの検証ができます。
「Blue Cat's FreqAnalyst」で十分カバー出来ると思います。
コンプレッサー
音量、音圧、その他調整に必ず必要になります。最近はフリーでかなりの数のコンプが出回っているので、クセの少ない使いやすいものを選びましょう。
「BuzComp Free GeneComp3」はフリーコンプの代表格ですね。
マキシマイザー
イコライザーやコンプレッサーで整えた後にマキシマイザーで音量、音圧ともに底上げします。今回の音を大きくするマスタリングにおいて必須のプラグインとなります。
「TLsmaximizer」などがあります。
リンク先の【TLsmaximizer_1-1.zip】をクリック。
上記4つのプラグインがあれば最低限のマスタリング環境を得ることが出来ます。
フリープラグインは今後も更に増えていくと思いますので、色々と試しながら自分に合うものを探していくことが大事です。
当ブログでもフリープラグインの記事を日々更新、情報収集をしておりますので参考にして頂ければと思います。
マスタリングに入る前に
まず確認してほしいことは、ミックスが完了した状態の2ミックスの状態です。
この時点で音のバランス、ノイズの有無を必ずチェックしておいて下さい。
それらが原因で、せっかくマスタリングをしても音量、音圧が稼げなかったり、逆に音圧が上がったことによりノイズが持ち上げられてしまい更に目立つ事になりかねません。
「いいマスタリング」のためには「いい状態の2ミックス」を用意しておくことが大切です。
そして、データを書き出す際の音量にも注意しましょう。
まずは曲を再生した時のマスターボリュームをチェックしましょう。ピークメーターが赤く表示されていませんか?
マスタリング前のオーディオファイルは出来るだけ音量を抑えめにしておきましょう。
だからといってものすごく小さすぎるのもNGです。メーターの数値が「-6.0db」あたりになるように設定しておきましょう。
下のように赤くなってしまうのはNGです。
ノイズはもちろんですが、音量に関してもマスタリングの結果において非常に重要になるので入念にチェックしておいてくださいね。
マスタリング開始
では準備ができたらまずはEQとコンプレッサーでバランスを整えてみてください。
プラグインの順序としてはEQ→コンプと言う感じです。そしてその後ろにスペアナを挿してみてください。
そして再生させるとこんな感じにグラフが動くと思います。
こうして各帯域をチェックして出過ぎている所をカットするなり、物足りない所をブーストします。
ポイントとしては、とにかく出過ぎている所を徹底的にカットしていく事を意識してEQの調整をしていく事です。
スペアナが全体的に平たい感じになるように意識していきましょう。
出過ぎている所がなければそれだけマキシマイザーを挿した時に音圧を上げやすくなります。
そしてバランスを整えたらマキシマイザーの出番です。
ここで一気に音量と音圧を稼ぎます。バランスの良い状態であればかなりの効果を期待できます。
この時点でうまくいかない場合はEQとコンプの設定を見なおして下さい。
もしくは元々のミックスが良くない可能性もあるので、一度ミックスに戻るのもひとつの方法です。
そして再度スペアナで再確認してみてください。
出過ぎている帯域はありませんか?ミックスの段階でノイズや音割れはしていませんか?
ここまでで問題がなければこれでマスタリングを終えてもOKです。
あとはオーディオファイルに書き出してしまいましょう。お疲れ様でした。
私はここからさらにEQで微調整をやったりします。
他にもステレオイメージャーで広がりを調整したり、さらに音量を稼ぐために同じ作業を繰り返したりする場合もあります。
最近は音量を必要以上に重視していないので繰り返しの作業はしていません。
それでは出来上がったデータとマスタリング前の波形を比べてみましょう。
上の波形がマスタリング前、下がマスタリング後です。結構音が大きくなっているのがわかりますね。
これまでの作業で、大体これくらいの音量、音圧を稼ぐことができます。
さらに大きくすることも出来なくはないですが、海苔のような波形は好きじゃないのでこれくらいで済ませておくのがベターなのではないかと思います。
やり過ぎてしまうと音の奥行きが無くなり、全体的にのっぺりとした感じになってしまうのであまりオススメしません。
参考書籍
この記事の参考にした書籍です。特に「音を大きくする本」はタイトルの通り、音量、音圧を上げるためのミックス、マスタリングに特化した内容なので個人的にオススメしています。
今回の記事で書いた内容をさらに細分化して、各楽器のトラックのコンプやEQの処理に触れているので、マスタリングで音が大きくならないと悩んでいる人にとって非常に参考になると思います。
最後に
ここまでざっくりと書いてきましたがいかがでしょうか。少しでもマスタリングで行き詰まっている人の力になれたのであれば嬉しく思います。
ここで書かれている内容はあくまで一つの方法です。私も曲によって色々とやり方を変えています。
マスタリングの前に「音源のマスタリングの方向性」をきちんと決めておくことが大切です。
数をこなして「自分流のマスタリング術」を身につけてくださいね。
今後も新しい知識や方法が見つかり次第、この記事も修正しながら有意義なマスタリングの情報源へとなっていければいいなと思います。
という事で今回もお付き合い頂きましてありがとうございます。
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